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RUN/ラン

母ダイアンの娘クロエは幼い頃から喘息や糖尿病を患い、車椅子生活を送っていた。毎日の薬の服用も当たり前の事であったが、ある日ダイアンから与えられた薬に違和感を覚え、それが何の薬か調べ始めたクロエは衝撃の事実を知り・・・





『search/サーチ』の監督・製作陣による映画という事で期待大でしたが、めっちゃ面白かったです。
母親に関する話、そしてタイトルの『Run』だけという情報のみで観たので「母親が何かから逃げる話かなー?」と思いきや「全然走らんやん…」となってしまったけど。笑
ホラー的な突然のビビらせはなし。ただ主人公のクロエが夜にこっそりとネット検索を試したシーンは映しの怖さが秀逸でした。



冒頭に不整脈や血色素症、糖尿、喘息といった病気についてのテキストが流れるのですが、それがクロエが抱えている病状という事でしょうか。

クロエはそんな病気のため、在宅学習により17年過ごしてきているけど学業も優秀で大学への進学を目指していた。ダイアンもそんなクロエを献身的に支えるよき母親であります。


序盤は病気によって大変な日々の中で懸命に生きるクロエと、健康を意識した料理を作ったりする母親の関係性が描写され、観ている側も「ステキな親子や~ん」と思わされます。
ところがある日、それまでの製薬メーカーが無くなったから新しい薬に変わったよ、とダイアンから渡された緑のカプセル薬に微かに疑念を覚えたクロエ。

ここから一気にスリラー、サスペンスな展開へ。クロエはその薬が何かを調べようとするのですが、在宅で暮らす彼女には携帯電話が与えられておらず簡単に調べられない、また車椅子生活という設定も半密室感があってハラハラ。そして徐々に加速する母親の異常さ、、、。
果たしてクロエは真実を突き止められるのか、そして母親の目的とは一体。



全般を通して不穏に感じるような明暗のコントラストや、緑の薬と真っ赤なトマトといった対比描写も印象的で、フレームワークなども徹底的にこだわって映してあるように思いました。
また、上映時間も90分と短めで、とてもテンポよくまとめてありますが、クロエが薬が何かを突き止めようとする緊張感がずっと続くので面白いのに体感時間が長く感じるという感覚を味わいました。

密室的なプロットや、母親のしてきた事の真相は勘のいい人なら早く気がつくかもですが、意外と先の読めない展開、そして「やっぱりそれやっちゃいますか~!」のラスト、凄かったです。


娘クロエを演じたキエラ・アレンが恐怖に襲われながらも奮闘する演技、そして母親ダイアンを演じたサラ・ポールソンの徐々に狂気じみていく表情など、キャストによって物語が格段にレベル上げされているようにも感じたところ。


やはり映画館で観ると緊張感も倍増する感じがあって良かったです。秀作です!



2021/06/20(火) TOHOシネマズ日本橋 10:50回 スクリーン9 字幕 F-9